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さーて、駒子様をこんな面倒に巻き込んだ、パチくんを、どういたぶってやろうかしら。
確かに顔は良いかも知れないが、あんなヘタレのどこがいいんだか。
私が今まで、アイツにしてきた悪ふざけの数々と、アイツのヘタレっぷりを暴露したら、加古川さんドン引きだろうなー。
まあ、自分の今までの悪事の数々が露見するから、絶対言わないけど。
加古川さんの誕生日会当日。
「杏里ちゃん、14歳のお誕生日おめでとー!」
加古川さんが、ケーキに立てた蝋燭の火を吹き消すと、広い庭に集まった加古川さんの家族や親戚、同じ学校の生徒たちは一斉に声を上げた。加古川さんの家は大きな材木店だったので、駒子の家同様、お金持ちだった。
ヨーロッパ風の庭の真ん中には噴水があり、ピンクや白や黄色の彩り鮮やかなバラが、美しさを競い合うようにして咲いていた。
6月の日差しはそれほど強くなく、パーティーの参加者たちは、庭の所々に置かれた、白テーブルに料理や飲み物を並べ、椅子に腰掛けて談笑を楽しんでいた。
食材には、すべて最高級品が使われており、屋敷専属の料理人とスタッフたちが、厨房とパーティー会場の間を行ったり来たりして、せっせと料理や飲み物を運んでいた。
駒子は、加古川さんとの待ち合わせ場所のテラス席に着くと、パチくんにこう告げた。
「ほら、ぼやぼやしてないで。
もうすぐ、私のお友達で、パーティーの主役の加古川さんがいらっしゃるんだから、2人分の料理と飲み物をすぐに運んでくるのよ。
あと、加古川さんは駒子の大切なお友達なのだから、くれぐれも失礼のないようにね。
パチくんのぶんは、駒子様が特別大サービスで運んできてあげるから、とっとと行きなさい。」
腹黒い駒子は、パチくんがいなくなったとたん、口元に不敵な笑みを浮かべた。
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