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美味しい料理が冷めないうちにいただきますか、と駒子が言ったのをきっかけに、三人は料理に口を付けた。
パチくんは、一口目は普通の反応だったのだけど、
二口目にとうとう、駒子が料理に混入したものを食べてしまったらしく、紅茶をごくごく飲んで、口の中のものを必死で飲み込もうとしていた。
先ほど駒子がパチくんのカレーに混入したものとは、ニュージーランド産の缶詰のチーズ、エピキュアーチーズだった。
駒子の父親が貿易会社を経営している関係で、駒子の家には、世界各地のさまざまなめずらしい食材が置いてあった。
父親は、エピキュアーチーズは、チーズのなかでも一番強烈な、すさまじい臭いがするから、絶対に屋敷で空けて食べてはいけない、と言っていた。
それなのに駒子は、缶詰を勝手に持ち出し、パチくんのカレーに混ぜて食べさせたのだ。
なにも知らない加古川さんは、駒子とパチくんに、お味はどうかしら、お口に合うと良いのだけど、と言った。
駒子は、とても美味しいわ、と言って微笑んだ。パチくんはというと、口をもぐもぐさせながら、チーズと格闘していた。
その時だった。
「きゃー泥棒よ!だれか捕まえて!」
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