元魔王と貧困勇者に腹黒と

目覚める魔王 バイト中の勇者

何かあったのか、男魔族は戻ってくると魔王サイガ様と呼ぶようになっており、アイシャが何かした様子もないのにニヤニヤと笑っている。

「で……魔王である俺様のパートナーとなる人間は一体誰……ってエルナじゃないか！！いや、何年経っているんだ。生きてるわけがない。それに……少しキツイ目つきをしてる感じが……名前はエリス=ガルフォード……十六才でミクス王国にあるラキアス学園の学生で……勇者！！」

履歴にはエリスの体には勇者だけが持つ聖印が浮かび上がってきた事で勇者と認定されたと書かれている。エリスはエルナと似ているだけでなく、勇者だという事に、サイガは驚きを隠せなかった。

アイシャはサイガのパートナーが現在の勇者エリスだと分かっていたのだろう。そして、勇者とパートナーとなる魔族となれば魔王であると男魔族はサイガという名前から判断したのだ。普通なら魔王に勇者を紹介などしないだろうが、男魔族は仕事に誇りでも持っているのだろうか。

「どこまでがお前の策略なんだよ！！絶体に俺のパートナーが勇者だと分かってただろ。俺達は倒す、倒されるの関係みたいになってるんだぞ。勇者も俺をパートナーにするわけ…………お前なら何とかしそうだな」

アイシャは記憶操作や蝙蝠などを使い、人の弱味を掴む事を得意としている。勇者の弱味ですらも持っている可能性はかなり高い。