目覚める魔王 バイト中の勇者

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蝙蝠達が止まった事で移動装置の場所に着いた。移動装置は城内にあり、サイガが歩いたのも十分ほどに過ぎなかった。移動装置の名前なのか扉のプレートには『W・C』と表示されている。 「W・Cはワールドチェンジの略称じゃ。世界を移動するという事じゃな。この中にある装置は人間界にかなり普及されていてな、一家に一台あっても過言じゃないんじゃぞ」 アイシャが扉を開けると、移動装置のような物が置かれているのだが、中は狭く、二人が入れるぐらいの広さしかなく、側には洗面所が用意されているのが狭い原因なのだろう。 アイシャは先にサイガを中に入らせると、装置がサイガを感知したのか突然蓋が開き、音楽が流れ出した。そして、装置を見ると椅子のような形をしており、違いがあるとすれば座る真ん中に穴があり、内部には水が貯まっているように見える。 アイシャも中に入り、装置に付いてある数種類のボタンの一つを押すと内部から水が勢いよく流れ出し、貯まっていた水は渦を巻き、奥の穴に吸い込まれていく。その水の流れと不気味な穴が人間界に繋がるゲートなんだとサイガに思わせた。 「色々と気になるんだが、まずは装置の側に紙が設置されてるけど、これはどういう意味なんだ?」 「中に水入が見えるじゃろ。移動後はどうしても濡れてしまうから、それを拭くために置かれておるんじゃ」 「設置にするなら紙じゃなくて、もっと良いものがあると思うんだけど……鏡は移動後の身だしなみを整えるためだな。それと……この大小と書かれているのは何だ?」 「これは最新の装置ではないんでな。魔界からでは大は人間界に、小は機界に行くという場所の指定、世界の大きさじゃな。長い間眠っていたせいで、色々気になるのは分かるが、そろそろ人間界に移動してもらうぞ」 アイシャはサイガを人間界に行くようにと急かした。まるでいつボロが出るかとひやひやしているかのようであった。
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