目覚める魔王 バイト中の勇者

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「……店長なら絶対に自分で覗こうとする変態だったわね」 「その通りだが、断言されるのも悲しいものだな。エリスがそう言うのなら、私も見てこよう」 店長はトイレを調べに行った。二人しかいないこの店では、店長でなくエリスでもなければ誰が仕掛けるのか。 「ウオッ!」 その叫びの後、トイレのドアが開いた時に水が流れる音がした。機人である店長はトイレを使用する事はない。 「驚いた。思わず流してしまったぞ。だが、魔力を感知した。誰かがゲートとして使用したんだろう。そんな膨大な魔力を使えるのは限られているはずだが」 「店長が入った時も出てきたのなら、覗きが目的じゃないんだとしても、トイレでゲートを開くなんて意味が分からないんだけど。それに簡単にゲートなんて開くも出来ないのに」 空や海に開いてるゲートを通るのであれば魔力を必要とせず、パスポートやパートナー証明書があれば竜や飛行機などで通る事が出来、他には紹介書の移動装置だが、それには連絡があって人間界の紹介所に行かなければならない。特定の場所にゲートを開くのには膨大なゲートが必要であり、ゲート管理に関連する会社や教会に許可がないと出来ない事なのだ。 エリスと店長が覗いたのか考えていると店の電話が鳴り出した。 「もしもし…………どうやら君に用があるらしい」 「私に?一体誰だろう……新しいアレじゃないでしょうね。もしもし、代わりましたけど」 「こちら魔界紹介所ですが、ご自宅や携帯をお持ちでないようでしたので、こちらに連絡させてもらいました。以前、エリス様にはパートナーの魔族や魔物はいないとされましたが、そのパートナーが現れまして、契約を求めに訪れる事を連絡しておこうと思ったかぎりです。TV電話はないようですので、ファックスで詳細を送り出来ますか?」 「あっ……と、お願いします」
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