目覚める魔王 バイト中の勇者

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魔界サタルフィール 燃え盛るような紅い空に竜や魔獣が飛び交い、数十キロにも及ぶ何もかも吸い込みそうな巨大な穴がポッカリと空いており、海は血の色のように赤黒く染まっている。 その海には五つの大陸が浮かび、それぞれの大陸に支配する魔族の王が存在するのだが、その五つの大陸は線で結ぶと星の形を描き、その中心部にある小さな孤島にその王達を超える存在、手下を持たず、己の力のみで地位を確立した魔王の城がある。 その城に足を踏み入れると普通の一歩が通常の数倍重く感じ、外で暑く感じてた体は瞬時に凍えるような寒さを訴え出す。それでも進もうとする者は巨大な迷路と獰猛な魔獣が行く手を塞ぐ。その魔獣達は魔王の手下ではなく、魔獣同士で喰い合いをしており、魔王にすら襲い掛かろうとする。それを越えた先にあるのが王座の間となる。 「皆の者、注目。ここが王座の間であり、勇者エルナと魔王サイガが戦った場所じゃ」 「スゴーイ!!柱とか壁の壊れ方とか異常 だし、天井には巨大な穴が開いてるし、凄い戦いが想像出来るわね」 そんな城の中を観光ツアーの旗を持った言葉使いは老人のようだが、ショートの白髪に金の瞳が特徴的な子供が人間や魔族の女性達を案内しており、観光客達は色々と写真を撮ったりしている。 魔王城は先程の説明とは程遠い場所になっており、観光名所の一つとなっていた。 数百年前、原因は不明だが魔界と人間界が繋がる巨大な穴が空にに現れた事で魔王達は人間界を征服するために進撃したのだが、人間界に勇者と呼ばれる者、エルナという少女が現れた事で、攻めこんで来た魔族達を次々と倒し、最後には魔界に行き、この城でエルナと魔王サイガは死闘を繰り広げ、エルナが勝利した事になっていた。 そして、魔王討伐後にはエルナと魔族の一人が架け橋となり、時の経過によって人間界と魔界は交流を深めていった。そして、現在では高度の文明を持った機界とも繋がり、条件を満たせば、誰もがどの世界にも行けるようになっているのだった。
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