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「ここはアパートで、この一部屋が私の家なの。勇者だからって金持ちじゃないし、平和な世の中で勇者って全然意味ないしさ。勇者って言われてから色々と迷惑してるんだから。こんな生活もそのせい…………まぁ……それはいいか。それよりも何であんな場所から何度も出てきたわけ?変態としか思えないんだけど」
「あんな場所?あれは別世界へ行くためのいどうそうちなのだろ?あそこから出てくるのは当然じゃないのか」
「本気で言ってるわけ?どう見てもトイレでしょ」
サイガは本気で便器を移動装置と思っている事にエリスは驚いた。つまり、サイガは最近の便器を一度も見た事がなく、どういった場所なのか知らないのだ。
「トイレ!!あんな形をしてるわけ…………W・Cはワールドチェンジの略称じゃないのか?」
サイガはトイレという言葉は知っていたようだが、便器があんな形をしていたとは想像してなかったようだった。
「トイレの別名よ。ワールドチェンジじゃなくて、ウォータークローゼットで洗面便所って意味よ。普通は騙されないと思うけど?」
「何百年も眠っていたんだから仕方ないだろ!!」
サイガは小さな声でアイシに騙されたと口にしたが、それはエリスには聞こえていなかった。
「何百年って……何言ってるの?サイガって名前だし、元魔王とも書かれていたわね。それが本当とだも言いたいわけ?」
エリスはサイガが魔王とは思う事が出来なかった。アニメの姿とは違うのもあるが、人間の姿と変わらず、魔力もあまり感じる事が出来ないのだ。
「……魔王とは思われず、変態とばかり言われるなんて最悪だ。どう思われようが元魔王なんだ!!勇者であるお前と契約出来たんだからな」
サイガは言いながらも体が消え始めた。時間が過ぎようとしているのだろう。
「……時間か。とりあえず、俺はお前が通う学校に行く事になってしまったから…………」
言葉も途中でサイガはエリスの前から消え、魔界に戻った。
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