目覚める魔王 バイト中の勇者

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サイガが魔王城に戻るとアイシャの姿はなく、目覚めたばかりなのにトイレに入れられたり、エリスとの契約をしたりと体を休ませるために魔王城から外に出て、少し歩いた場所にある小さな小屋に向かった。 その小屋は勇者エルナが魔王城に入る前に休んだ場所とアニメで放送されていたようだが、実際はサイガが住んでいる場所だった。魔王城はアイシャに無理矢理造らされただけであり、飾りみたいなものだった。 サイガは小屋に入ると何百年も経過しているはずなのに壊れてる事もなく、誰にも荒らされている事もなく、昔のままだった。そして、テーブルの上に一通の手紙と何か分からない物体が皿に置かれてあった。 サイガは手紙を見ると、それはアイシャからだった。 『人間界に住む場所は手配しておいた。場所も書いておく。ラキアス学園の転入届けも出している。二日後の四月二日、高等部二年として新学期から入るようにしておいた。来なければどうなるかわかっているな。それでは学園で会おう。ちなみに晩飯は私の手作りだ。残すなよ』 「どう見ても嫌がらせだろ。それに学園で会おうって…………学生になるつもりか」 サイガは渋々アイシャが作った料理を口にするが、スライムのような食感と腹の中に入れてもそれが動いていて気持ち悪くて仕方がない。 手紙はもう一枚あり、それはサイガとエリスが契約した時に装備された腕輪についての説明書だった。 腕輪は契約した証拠だけでなく、様々な機能が付けられている。一つは別世界でもパートナーと連絡を取ることが出来る。さらに同じ世界にいるのなら魔力を消費すれば相手を召喚する事が出来るようになる。この二つが仮契約で使える機能であり、本契約の機能については書かれていなかった。これもアイシャが用意してくれたのだろう。 サイガがそう思っていると、説明に書かれていたように腕輪が光り、空中に文字が浮かび上がる。それはエリスから連絡がきた事を報せるもので、出るかYes or Noと表示された。
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