目覚める魔王 バイト中の勇者

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サイガはドラゴン便に乗り、魔界から人間界のミクス王国に着いた。昔の人間界を見た事はあったがあまりの違いに驚きを隠せず、辺りをキョロキョロと見回した。その姿はまるで田舎から都会へ来た人間と変わらないだろう。 アイシャは地図を用意してくれていたおかげで何とかマンションに着く事が出来たが、それがなければ迷子になっていたところだろう。最終手段としてエリスが場所を知っていたので、教えてもらおうとも考えていた。 まずは管理人に挨拶をするのと部屋のカギを貰わなければならないと入口近くにある管理人室を見た。その管理人がアイシャだったらと思ったが、普通の人間の老人だった事にサイガは少し安心した。 「すみません。今日からこのマンションに引っ越すサイガ=オウマなんですけど……これからお世話になります」 魔王でありながらも、サイガは丁寧に頭を下げた。 「……はいはい。アイシャ様から聞いていますよ。遅れてくると聞きましたので、カギは彼女さんに任せておきましたよ」 「……えっ……彼女?」 管理人が何を言ってるか分からなかった。普通は本人にカギを渡すべきだろとか、アイシャ様って何だよとか色々言いたい事があったが、管理人はサイガの挨拶が終わったのだと、どこかへ行ってしまった。 「考えられるとしたらアイシャしかいないか。おい!!お前に言いたい事が色々と……」 サイガは自分の家となるドアを開けると、そこにいたのはアイシャではなく、ジャージ姿をしたエリスだった。 「やっ!!私もここで住まわせてもらうから。アンタってお金持ちなのね。TVとかベッドとか全てが新しいじゃない。一部屋は私の部屋にするから。ベッドも私のね」 「な……何言ってるんだよ!!一緒に住めるわけないだろ。俺は変態なんだぞ」 サイガも意味が分からなくなり、サイガ本人が変態と言ってしまっていた。
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