目覚める魔王 バイト中の勇者

26/26

36人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
「自分で変態とか言ったら駄目じゃん……決めたの!!アパートの契約も切ってきたから住む所がないのよ。ここにいたら家賃とか色々お金が掛からないし、部屋も綺麗だし、お風呂もついてる。けど、覗くのは絶対許さないから。ルールも決めておかないと……食費分ぐらいだすけど、私料理出来ないから、頼むわね」 エリスは雪崩の如く、一気に言葉を流してき、サイガの家に住む事を勝手に決定する勢いだ。 「言っておくけど、私を追い出したりしたら……犯罪に手を染めたりしたら、アンタも同罪になるのよね」 エリスの言葉にサイガは開いた口が閉まらなかった。勇者のくせに考え方がたちの悪い魔族と同じであり、少し抜けてるところも一緒だった。 「お前…………それをするなら本契約を結んでからだろ……仮契約は一ヶ月だけだから、俺がその時に断ったら終わりだろ」 「…………え~と…………これから宜しくね!!私も色々手伝うし、家事は分担しようかな。この世界で分からない事は教えていくから」 サイガの言葉を聞いた後、エリスの偉そうな態度は一変して、頭を下げた。しかし、小さな声で『弱みを握れば何とかなる』と言っているのがサイガにも聞こえており、何も反省していない事が分かった。 「はぁ……住んでも構わないぞ。先はどうなるか分からないからな」 アイシャはエリスの状況を知っており、サイガの家に住み込む事を予想して、それが面白い事になるだろうと汚く、狭い家ではなく、このマンションを選んだのだろう。サイガはそう思えた時点で諦めがついた。 とりあえず、サイガとエリスはパートナー関係であり、同級生であり、同じ家に住む者として一ヶ月過ごす事になった。 それがサイガの世界征服の一歩であり、エリスにとっても貧困からの抜け出すための一歩でもあった。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加