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「……エリスは案内するとか言っておきながら、自転車とかいう乗り物でさっさと一人で行ってしまったよ。性格からして、本当に勇者なのかって思うぞ」
サイガはアイシャに色々と言いたい事があったのだが、反撃されるのがオチだと判断し、アイシャの質問に答え、今日の朝の事だけでなく、昨日の出来事もサイガは思い出した。
サイガの家にエリスが住むで、ルールを作る事になったのだが、風呂の順番はエリスが絶対に先だとか、料理も順番制でなくサイガがやる事になったり、洗濯は各自がする事になったが、掃除はサイガはエリスの部屋以外で、エリスがするのはゴミ捨てだけになった。
その決め方はサイコロで大きな目を出したほうが決めるのだが、エリスがイカサマを使ったのではないかと思うほど、サイガはことごとく負けてしまったのだ。
今朝もサイガはぐっすり眠っていたのを起こされ、エリスに朝食を作らされただけでなく、弁当も用意させられたのだ。そして、サイガはラキアス学園の場所を教えてもらおうとしたが、エリスは了承したものの、自転車が先に行ってしまった。ラキアス学園に来れたのは、恥を忍んで通行人に場所を聞いたからだった。
「私の思っていた感じになっていて安心したぞ。これからサイガ、お前にはテストを受けてもらうのじゃが、優秀な成績を取ってもらうぞ。まぁ……最低でも筆記や二日目の実技テストのどれか一つはトップになってもらわんと困るな」
アイシャは軽く笑いながらも、手にはこの学園を破壊出来るほどの魔力を宿しており、拒否すればどうなるかと脅しているようなものだった。
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