目覚める魔王 バイト中の勇者

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この魔王城に人間がいるのには、そういう理由があるのだが、数百年と経過している場所が観光スポットになっているだけでなく、人間や魔族の女性に人気なのには理由があった。 一つは魔王城には結界が張られていて、ある一人の魔族以外は入る事も視認する事も出来なかったのだが、とある理由により解除されたのだ。 そして、もう一つは機界と世界が繋がった事で、TVという映像が流れる機械が普及しただけでなく、勇者エルナの冒険がアニメ化された事で聖地巡礼という観光ツアーが組まれるようになったのだ。 「伝説の魔王サイガ様の城が見れるなんて夢のようだよね。マジで感動するんだけど」 「人間の私でもそう思うもんね。TVで流れるアニメのサイガ様は最高だし。男達はエルナか王女キーナかもだけど、女にとってはサイガ様か豪炎と冷静のアーク兄弟よね」 人間同士や魔族同士でアニメの話をしているのではなく、人間と魔族が楽しく話をしており、その手にはアニメで出てくるサイガのキャラが描かれた団扇やタオルを持っており、機界で造られた紙に記録する事が出来るカメラを持っていたりしている。 「次で最後の案内になるんじゃが、復活の間と呼ばれる場所じゃ。勇者エルナに倒された魔王サイガは再び蘇ると言い残し、最近になって目覚めるための物なのか、棺が出現したんじゃ。結界が消えたのも復活のための力を棺に注ぐためとかと噂されとる」 ガイドと観光客は王座の間を離れ、ガイドが旗を持つ逆の手から炎の魔法で道を示し、復活の間へ続く暗闇の道を進んでいく。観光客の頭上には無数の蝙蝠達がいるのだが、その炎によって一定の距離までしか近付けないようになっている。
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