王女様は負けず嫌いなようです。

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何百年も経過しているうえに、サイガ自身の能力がかなり低下している事から、トップになる事なんて無理に決まっているだろうとアイシャには言わず、サイガは思うだけにした。 「ここでテストを受けてもらう。エリスと同じ教室にしておいたから感謝するんじゃな。開始にはチャイムが鳴るはずじゃから、空いてる席に適当に座っておけばいいぞ」 そう言い残し、アイシャはどこかへ行ってしまったので、サイガは言われた通りに教室に入る。 教室には四十人ぐらいが座る席にがあり、何人かがバラバラに座っている。サイガよりも先に学園に行ったはずなのに、エリスの姿はなかった。それにバラバラと座っている人間や魔族がいるのに対して、一ヶ所に固まっている集団がいる。サイガがドアを開けた時、その集団はこちらを見たが、待っている相手が違ったのかすぐに目線を戻した。 その集団の中心にいるのは金髪のポニーテールで蒼い瞳の少女。マキナ様と様付けで呼ばれている事から周囲にいるのは取り巻き達なのだろう。 取り巻き達はマキナに『今回こそは良い成績を取って、マキナ様と一緒に生徒会で活動します』など、そういった言葉を何人も言っていた。 優秀な成績を取る事と生徒会が何か関係する事が分かる。つまり、アイシャはサイガを生徒会に入れようとしているのかもしれない。 「あっ……マキナ様!!偽勇者が来ましたよ」 取り巻きの一人がそう言ったのだが、教室に入ってきたのはエリスで、サイガがいるのが分かると隣りの席に座った。 「おっ……おい……お前って偽勇者とか言われてるのか?」 サイガも肯定したい気持ちもあったが、パートナーになれたという事はエリスが本当の勇者で間違いない。 「勝手に言わせておけばいいわ。私も好きで勇者になったわけでもないし」 エリスは気にしていないようなのだが、マキナは席から立ち、エリスに近付いて来た。 マキナはエリスと同じ身長ぐらいで、スタイルも五分五分。切れ長の瞳に整った顔立ち。さらにエリスやほかの学生から感じる事がない高貴な雰囲気を持ち合わせており、取り巻きがいるのも頷ける。
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