王女様は負けず嫌いなようです。

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だか、エリスに魔力がないと計測された事にサイガは疑問を持った。他の人間や魔族が計測した時はきちんと反応している。これが潜在能力を測る機械なら駄目だが、現在の状態のサイガの魔力も合っている。機械が壊れているわけではないのは分かるが、勇者が魔力を持たないのはおかしい。昔サイガとエルナの戦いにおいて使った聖装具も魔力なしでは使う事が出来なかった。 それだけではなく、サイガはエリスから微弱ながらも魔力を感知していた。魔力とは時間が経過すれば回復し、使用可能となるのだが、エリスの魔力は1でも回復すれば、すぐに使われている感じなのだ。 「エリス……魔力がないって嘘だろ?」 「ん?別にどうでもいいじゃない。魔力がなくても何の問題もないんだし」 エリスはその事について答えなかった。サイガはエリスについてプロフィールに書かれていた事と機人がいる店だ働いている事以外知らない。家に一緒にいても部屋には入れてもらえず、お互い何も知らないに等しい。サイガが魔王である事でさえも、エリスはまだ信じていない。サイガの事を金持ちだと思っている可能性が高い。 「武術戦闘が先に始まるようだから、私は先に行くから。アンタは魔法戦闘に出るんだったら、武術戦闘と同じ場所でやるから、見ておいたほうがいいわよ。……言っておくけど、私が戦う姿を見せたいわけじゃないからね」 エリスはサイガにそう言い残し、面倒臭そうに頭を掻きながら闘技場へと向かう。 武術戦闘の参加者はエリスを含めて、二十人も満たないはずなのに、大勢の学生が闘技場へと走っていた。 武術戦闘、魔法戦闘は全学生に公開された状態で開始される事になっているのだった。
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