王女様は負けず嫌いなようです。

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闘技場内は学生達によって熱気に包まれていた。多くはマキナの声援であるが、他にも出席者を応援する学生。その中に何故か学生でない観客が一人いた。それについて誰も何も言わない。この学園には制服がない事や学生が多すぎる事で、学生でない者が紛れても判断出来ないのだろう。 「……何でばれないんだ?誰か気付いてもおかしくないのにな」 しかし、サイガはすぐに気が付いた。一人だけ大きな旗を持ち、その旗には勇者エリスと書かれている。学生が大勢いる中で一人だけエリスの応援をしている機人。店を放っといて店長は応援の旗を振っていた。 店長の周囲にいる学生は少し距離をとっている。怪しいとは思っているのだろう。それに店をやっているのに誰も気付かないのは、店をがあまり知られていない証拠だろう。 「むっ…………君は」 目立つ行動をしている店長とは違い、学生達に紛れ込んでいたサイガを見つけ出しただけでなく、距離が離れていたのにも関わらず、一跳びでサイガの前店長は着地した。それによってサイガと店長の周囲から学生が離れた。 「君はエリスのパートナーであっているな。渡してと共に応援してもらうぞ。人に奇異な視線を送られるのは私にとっては嬉しいし、後の仕打ちも楽しみなのだが、エリスのパートナーとなった君もそういった趣味の持ち主なんだろ?」 サイガと店長はトイレの中で会っただけで、それも一瞬であったはずなのに、エリスのパートナーとなっただけでそう言った趣味だと判断していた。 「ち、違う!!そんな趣味なんて持ってるわけないだろ。アンタとは一度トイレの中で流されただけだろ!!」 サイガは店長の言葉を否定するが、周囲の学生達はサイガ達から、さらに距離をとった。 サイガの『トイレの中で流された』という言葉が、二人が変な関係だと思わせたのだった。
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