王女様は負けず嫌いなようです。

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マキナはレイピアで三段突きを放つ。常人では残像の如く同時に放たれたように見える突きを、エリスはバックステップで逃げず、一歩前に進みながら避け、マキナとの距離を詰める。 そのエリスの行動はマキナも予測していた。マキナはレイピアの攻撃だけにエリスの目を向けさせた。そこからマンゴーシュで横からの一閃が本命。 マンゴーシュは防御のため武器だけでない。エリスに見られる可能性もある事から、先程の男達には防御としか使わなかったのだ。 「私の勝ちよ!!」 マキナの目にはエリスがマンゴーシュの前に木刀を向けたのが見えた。木刀でマンゴーシュを防げるわけがなく、武器を破壊された時点でエリスの負けだと勝ちを確信した。 その一瞬の緩みが二人の勝敗を分けた。エリスとの戦う前、武器破壊をしてギブアップをさせた事がいけなかった。これは武術戦闘であり、武器破壊をすれば決着というわけではない。 マキナがマンゴーシュで攻撃した時点で、エリスは武器を捨てるつもりでいたのだ。 「……詰めが甘いわよ。これは気絶かギブアップが勝利の条件なんだから。武術は武器だけじゃないの!!」 エリスは素手でマキナの両腕を攻撃し、レイピアとマンゴーシュを落とさせた。そして、マキナの目の前で拳を止めた。 「……っ……そんな……」 「まだやる?やるんなら気絶させないと駄目になるけど」 エリスは男達は気絶させたのにも関わらず、マキナにはギブアップを促した。それは次の魔法戦闘に支障を与えるのではないかと配慮した。 マキナも武器を拾う事がも出来ず、素手で勝てる相手ではないと分かっており、ギブアップと口にした。
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