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ゴーレムの額にはemeth『真理』という言葉が刻まれ、頭のeを削る事でmeth『死んだ』という意味になり崩れる形になっているのだが、アイシャがそんな文字を刻まずにゴーレムを作り上げていた。
ゴーレムの額には『肉』と一文字刻まれて、黒く光っている。その一文字だけというのが削ってもいいのかと疑ってしまう。部分だけ削るとしても内や人になるだけで意味があるとも思えない。
「あの…………マキナ様。その男の話が本当なら……どこを削ればいいのか分かったかもしれないです。某アニメなんですけど」
サイガとマキナの話が聞こえたのか、一人の選手が近付いてきた。その選手の話ではアニメキャラで弱くなる、体力がゼロになると黒い文字が白くなるらしい。その文字も『肉』という文字らしいのだ。
「私はアニメを見てないから、分からないのだけど…………それを信じてもいいと思います。『肉』という文字をそのまま削って、白くすればいい。ですが、どうやって削るか…………魔法は吸収されますし」
「方法がないわけじゃない」
サイガが目を向けたのは武術戦闘の時にマキナが落としたレイピアとマンゴーシュ。
「私が落とした…………ですが、ゴーレムの体を削るには強度が足りない可能性が……補助魔法で強くしてもゴーレムに吸収されたら折れるだけです」
レイピアは剣は細く、突くのがメインであり、削る時に折れてしまう。マンゴーシュはレイピアよりも丈夫だが、折れないとは言い切れない。
「何言ってるのよ。魔法戦闘で武器なんか使用したら観客達に何て思われるか……それに近付くなんて出来るわけない」
選手はこんな状況でも観客の視線を気にしており、それにゴーレムの側に行ける事なんて出来るわけがないと判断した。
「……私なら」
マキナは武術戦闘に参加するほど、身体能力は高い。ゴーレムの攻撃を掻い潜れる。選手もその考えはあったかもしれないが、王女であるマキナにそれを言い訳にいかなかった。それをマキナは察したのだろう。
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