王女様は負けず嫌いなようです。

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「あ~もう……俺がやる。アンタは武術戦闘で疲れてるし、エリスの攻撃で武器を持っても力が入らないだろ」 マキナの腕を見ると、エリスに攻撃を受けた箇所が赤くなっている。 「……気付いていたんですか。ですが!!」 「アンタ以外でゴーレムの攻撃を掻い潜れるのは俺だけだ。それに防御系の魔法は使えないし、D判定だから魔法も使える回数も少ない。それに俺にしか出来ない事もあるからな!!あっ……俺が一位になるのは許してくれよ」 サイガはマキナが何かを言う前に飛び出した。 「そんなの……皆さん!!生き残りたいのであれば、あの者に援護を。ゴーレムまでの道を作るんです」 マキナの声によって、選手達はサイガの援護にまわる。サイガを狙うゴーレムの攻撃に魔法防壁を張り、力やスピードを増加させる補助魔法もサイガに施す。 「……こういうのは久し振りだな。誰かと協力するなんて…………悪くないよな」 サイガはマキナのマンゴーシュを拾い、ゴーレムの『肉』の黒文字を削ろうとするが、ゴーレムの硬さが勝ち、刃は砕けた。それはマキナ達には見えていない。 「そうなるよな。アイシャの事だから硬度は高くしてるとは思ってた……俺しか倒せないようにするために!!」 マンゴーシュが折れる事はサイガも予想していた。レイピアを選んでも同じ事だろう。何のために砕けると分かっている武器を持ったのか。 砕けたマンゴーシュの柄に魔法陣が描かれ、そこから黒い刃が現れる。サイガはこの柄を媒介にして、魔法の刃を宿したのだ。 その刃は魔法を吸収するはずのゴーレムの額に突き刺さる。この力こそがサイガが魔王と呼ばれる由縁。サイガは無属性という特殊な属性を体に宿しているのだ。それはゴーレムが吸収した魔力を魔法刃の威力に変換し、ゴーレムの体は魔力を失うのと同時に『肉』の文字が削れた事で完全に崩れ去った。
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