王女様は負けず嫌いなようです。

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次の日、サイガはいつものように一人で学園に向かったのだが、校門前で学生達が騒いでるのが見え、その中心は案の定マキナだった。そこにはもう一人、キースもいてマキナを説得しているように見える。 サイガはそれを無視して校門を抜けようとするが、取り巻き達に行く手を阻まれ、マキナを説得していたキースを止めて、サイガの方へ足を向けた。 その表情は冷たい目で、殺意すらも感じ取れるぐらいだった。 「……貴様が偽勇者のパートナーか。貴様は立場も考えず、副会長に立候補したのは許してやる。だがな、偽勇者を会計に推薦したのは許せん。そのおかげで、マキナ様は会計に立候補したのだぞ」 「いやいや、エリスを会計に推薦したのは認めるけど、マキナが会計に立候補したのはマキナの意志だろ。俺は全く関係ないだろ。言うなら、マキナに言え」 エリスを推薦したのはサイガだとばれているようだが、エリス以外に文句を言われる筋合いはない。 「そうです。これは私の意志なのですから、キースは何も言わず、サイガと副会長の座を掛けての勝負に集中しなさい。私もエリスとの勝負に集中しますから」 サイガとキースの会話にマキナが割り込んできた。 「しかし……マキナ様は会長になるべきお方。会計など……偽勇者との勝負も勝ちはマキナ様に決まっています」 その言葉にはサイガも納得した。エリスとマキナが会計を賭けて勝負しても、学生からの投票ではマキナが勝つのは目に見えている。 「勝負は何が起きるか分かりません。去年、私は会長を務めましたし、どのような仕事かは理解しました。他の役職に付く事も勉強になるでしょう。キースも私以外の人の指示に従うのも将来のためになるかもしれません」 エリスはマキナと勝負するつもりどころか、会計になるつもりもない事はサイガは分かっていたが、それを口にはしなかった。 「そんな事は……私はマキナ様以外の誰かに仕えるなど……」 「いい加減しなさい!!決まった事ですよ。会長に三名が立候補もしているのです。それに王女の私がルールを破るわけにはいきません」 今朝、三年の三名が会長に立候補しているのが確認出来た。
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