王女様は負けず嫌いなようです。

29/30

36人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
「アンタ達、未知を塞いでるんじゃないわよ!!通れないじゃない」 険悪な雰囲気になる中、それをぶち壊すようにエリスが先に進めないとマキナ達を囲っている学生達を怒鳴りつけ、道を開かせていた。 「ん?……アンタはもう絡まれてんの。まぁ、勝手にしとけばいいよ。私は先に行くから」 エリスはサイガとマキナ、キースの会話は自分には関係ないとさっさと行こうとしており、サイガの時のように道を塞ぐ学生は誰もいなかった。 「ちょっと!!私を無視しないでくださらないかしら。会計という役職を賭けて勝負するのですから。何か言う事があるでしょ」 無視して行こうとするエリスに、マキナは声を掛けた。先程とは口調が変わり、怒鳴っているみたいなのだが、マキナは楽しそうな顔をしている。 「別に……誰かが勝手に推薦しただけだからね。私は勝ちたいなんて全然思ってないから」 エリスはサイガを睨んだ後、さっさと学園の中に入っていく。その先で『エリス様頑張ってください』などの、エリスを応援する声が聞こえてきた。 「良い勝負になりそうね。サイガ、貴方もキースと良い勝負をしてください。どちらが勝ってもおかしくないと私は思いますから」 サイガにそう言い残して、マキナも学園の中に入っていく。キースはサイガを睨みながらもマキナの後に続き、学生達も同様に学園の中に入っていく。 「何でエリスが応援されてるんだ?闘技場ではブーイングを受けてたし、偽勇者とも呼ばれているのに」 サイガは疑問に思った事を独り言のように呟いたのだが、それに対しての返答があった。 「エリス様にもファンクラブがあるんですよ」 魔法戦闘でアドバイスをくれた選手の一人。身長は子供バージョンのアイシャよりも少し高いぐらいの150センチぐらい。大きな黒の魔法帽をかぶり、紫のショートの髪で、大きな丸眼鏡で瞳を隠している女学生がサイガに声を掛けてきた。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加