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「くそっ……アイシャの奴、俺がキースに負けるの前提で動く気がする。それを覆してやろうじゃないか」
サイガは副会長になる気はなかったが、無理矢理立候補させたくせに負けてもいいと言われると、意地でもキースに勝ちたいという気持ちになった。
「あれ?サイガさんじゃないですか。もしかしなくても手伝ってくれるんですよね」
シリアは一人で学生達に大量の紙束を渡してきた。サイガはその紙を見ると『会計にはエリス様に一票を』と書かれている。エリスファンクラブはエリスに追いかけられながらも活動しているようだ。
「これはちょっと……エリスに見つかるとどんな目に合わされるか……それよりもシリアはエリスの応援ばかりで、三年の会長候補みたいに何かしないなか?」
書記の立候補者数は多くなっていた。それなのに候補者達は会長候補みたいに演説とかを誰もしていない。
「会長候補達はともかくとして、私達は何も演説する内容がないから。普段の行動とかを見てもらうしかないですからね。それに私にはファンクラブの後ろ楯があるから、他の候補者達よりも有利なんですよ。ファンクラブにはサイガさん、リーダーに投票するようにも言っておきましたから」
そのシリアの言葉にサイガは紙束を返す事が出来ず、シリアもサイガを残して場所を移動した。
「……この紙束どうしよう。捨てるわけにもいかないしな」
サイガは恥ずかしながらも、エリスに注意して学生達に紙を渡していく。それと今後どうするかもサイガは考えていた。シリアはファンクラブにサイガを投票させると言っていたが、それでもキースには及ばない事は分かっている。それに演説も何を話せばいいか全然分からない。
「この紙は…………貴方はやはり良いパートナーなのですね」
考え事をしていたせいか、紙を誰に渡したのかをサイガは見ていなかった。声に聞き覚えがあり、紙を渡したのはマキナだった。
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