魔王は暗躍しない波乱の生徒会選挙

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「いや……何でマキナはエリスに突っかかるか気になったんだよ。エリスは嫌われてるって言ってたけど、俺にはそうは思えなくてな。それでマキナは自然食が様付けをしないからと言ってたんだ」 「ふ~ん……様付けをしないから……ね。私が様付けされるのが嫌いだからってのもあるわね。私が勇者だと分かってから、大人達は私をエリス様とか言うし、友達だった子も様付けなんかするのよ。その時にさ……私は私なのにと思ったのよ。友達には勇者じゃなくて、私として見てもらいたかったの。だから、マキナを王女として見てないから様付けをしないのよ。……って何言ってんのよ私は……この事はマキナに言う事はないからね」 エリトリアの言葉に、サイガはマキナもエリスと同じ様な気持ちだったのかもしれないと思った。エリスがマキナを王女としてではなく、一人の人間として対等の立場でいてくれるから、マキナはエリスと競いあうのが楽しいと感じているのかもしれない。 「分かった分かった。何か……エリスの意外な一面を見た気がするな」 「うるさい……私は何も変わらないわよ。そろそろ商店街に着くわね。自転車を修理している間に私とアンタの服を色々と買うわよ。それとアンタの長い髪も切ってもらわないと駄目ね」 サイガとエリスの服の数は手で数えるほどしかなかった。エリスの家で見る姿はジャージャ姿で、サイトも同じ服ばかり着ていたのをエリスは見逃さなかった。そして、エリスはサイガの長い髪が邪魔に見えて、床屋で無理矢理切らせた。 「何するんだよ……長い髪の方が雰囲気が出てたんだぞ。こんな姿は本当に普通の人間と変わらなくなっただろうが」 「へ~……アンタの顔をハッキリと見れなかったけど、悪くないじゃないの。こっちの方が全然良いんじゃないの。まぁ、全然魔族に見えないけどさ」 サイガの髪は短くなった事で、エリスはサイガの顔をきちんと見る事が出来た。目や耳、歯に特徴はなく、額に角なども生えていない。サイガの姿は本当に人間と変わらないとエリスは思ったのだ。 「それが嫌なんだよ……ってこれは」 商店街の一つの店にTVが店頭に置かれていて、アニメが映されていた。そのアニメは第一期である魔界編の再放送だった。
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