魔王は暗躍しない波乱の生徒会選挙

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「……勇者のお前ならば分かるが、マキナ様は何故お前も気になされているか分からんな。魔法戦闘は見ていないが、先程の行動を見た限り、マキナ様の足下にも及ばない。私相手ではそれ以上にな」 キースはサイガに言い残し、警備隊と共にその場を離れた。そして、人々は何事もなかったように動き始める。 「あ~!!ムカつく!!何様のつもりよ。殺せばいいってもんじゃないのにさ」 キースが見えなくなると、転がっていたジュースの缶をおもいっきり蹴っている。 「キースって一体どういう奴なんだ?警備の隊長とマキナの側近なのは分かったが、魔獣を一撃で殺した魔法は……」 サイガは魔法戦闘を経験したが、マキナや他の学生でも魔獣を一撃で倒すほどの魔法の威力はなかった。さらに一見ただの風魔法に見えるのだが、風と闇の合成魔法。サイガも知る魔法であり、使える魔族は一人しかいなかった。だが、何百年も経過した事で研究され、使える者が出てきたのだろうか。 「二年の時に副会長なのは言ったわね。キースは今回の武術戦闘、魔法戦闘もいれて常にトップ。しかも、勉学も全部トップ。まぁ、学年別だから、武術戦闘は私がいたら分からないけどさ……警備隊長とマキナの側近でもあるから、実力は相当ある事は確かね。アンタとは全然違うわよ」 「……そうなのか。顔が良くて、頭も良くて、強いなんて三拍子揃っているのは反則だな……って俺も魔学と魔法戦闘で一位取ってるから!!」 サイガはある事を考えていた。あの魔法は確実に魔獣を倒す威力はあるが、魔力だけではなく、他に代償がある。それは研究された事で変化したのだろうとサイガは思う事にし、エリスに突っ込みを入れた。 「それなら生徒会選挙で勝ちなさいよ。アンタは負けると思ってたけど、キースがあんな奴だと分かったからには凹ましてやらないと。だから、勝たないと承知しないからね」 しかし、今回の出来事がラキアス学園でのキースの評判を上げる事になり、サイガの評判はゼロから上に上げようとしているのが、マイナスになっていた。
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