魔王は暗躍しない波乱の生徒会選挙

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「本当に……何やってんのよ。キースの評判は更に良くなっているのに、アンタは下がる一方じゃないのよ」 四月七日、無の日。今日は学園が休みなのでエリスはバイトに入っており、サイガもエリスが休んでいた事で仕事が滞ってしまった責任をとらされ、店の手伝いをさせられていた。 「俺のせいだけじゃないだろ。キースの奴が活躍し過ぎなんだよ。それにエリス、お前が噂を流したんじゃないだろうな」 魔獣の暴走化はあの一件だけではなく、無の日に入る前にも何回か起きていて、その全てをキースが暴走した魔族や魔獣を殺す事で解決していた。その活躍により、学園では英雄とまで呼ばれている。 一方、サイガは杖を灰にしてしまったオバサンが学園に来た事で、あの時の出来事が学園に広まってしまったのだ。それも話は変化し、最後にはオバサンを襲った変態までになっていた。その言葉をエリスが言っていた。 「パートナーの私まで変な目で見られるのに、そんな事言うわけないじゃないの!!」 エリスは変な目で見られるといいながらも、エリスとマキナの会計の評判は何も変化はなかった。むしろ、エリスファンクラブのおかげで、エリスの方が一歩リードしているかもしれない。 マキナは魔獣暴走化の事件が起きた、次の日から学園に来ていない。キースも街の警備を優先し、学園を休んでいた。魔獣暴走化の活躍もそれが項をなしているのだ。 「噂では魔王が復活したのではないかと言われているな。魔族達もいつ暴走化になるかと怖がっている」 店長は客から聞いたとされる話をサイガとエリスに話した。魔王復活が魔族や魔獣、魔物の暴走化に影響があると思っている者達が多いらしい。 「言っておくけど、俺は何もしてないぞ。噂に過ぎないからな」 「はぁ!!何言ってんの?まだ自分が魔王だと思っているわけ。そんな実力も持っていないんだし、そこを引っ張っても全然笑えないから」 エリスはサイガが魔王である事をまだ信じておらず、店長もサイガの前で魔王が復活したという噂を話す事からも信じていない事が分かる。サイガは自分のプロフィールを見してもらったが、どう見ても胡散臭く、信じてもらえないのは当然だと分かった。それに学園では魔王という事は伏せられていたようで、人間界でサイガを魔王と知っているのはアイシャだけなのだ。
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