36人が本棚に入れています
本棚に追加
そのアイシャとも、サイガは会う事が出来ずにいた。アイシャは学園に来る事はなく、受け持つ講義は休講扱いになっている。
魔界の住人の暴走化はサイガとエリスが見たゲートが関係しているのではないかと、サイガは考えているのだが、ゲートが開いたのは最初の暴走化の時であり、それ以降開いたのを見た事はない。だが、気になる事あった。サイガが一人の時、暴走状態の魔物と遭遇したのだが、同じ様に自我が暴走を抑えようとしているように見えた。それがサイガを見ると完全な暴走化になったのだ。それはエリスを見た時に完全な暴走化になった時と似ていた。
殺気からしても勇者であるエリスはともかくとして、サイガを見た時にもなるとすれば、勇者のパートナーだからという理由も考えられるが、サイガを魔王と知っているからとも考えているのだ。
だからこそ、アイシャに連絡を取りたいのだが、連絡手段を持ち合わせてはおらず、アイシャからも連絡がない。
「はぁ……俺以外に魔王が存在するのか。そこのところも全然聞いてなかったよな」
サイガはエリスと店長に聞こえないほどの声で呟いた。
サイガが目覚めるまでの間に数百年も時が流れている事から、強い魔族が生まれていてもおかしくはないのだ。それに国々の王達は強い魔界の者達と契約するという言葉を思い出したからだ。
「いらっしゃ…………何しに来たわけ。営業の邪魔なんだけど」
店に大勢の人達が入ってきたのだが、それは客という雰囲気ではなく、ミクス国の紋章がついた鎧を着ている。そして、隊長らしき人物が代表として、エリスの前に立った。
「勇者エリス=ガルフォード、そのパートナーであり、ワーエンド殿の弟子であるサイガ=オウマ。王が二人に二人に頼みたい事があるという事、我々と共に城に来てもらうぞ」
その言葉の後、兵士達はサイガやエリスだけではなく、店長にまで持っていた槍を向け、拒否権がない事を見せつけたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!