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ラキアス学園には赤と黒の制服があるのだが、それは強制されているわけではなく、自由となっている。ただ、他の学園との交流、試合などでは着る事になっているのだが、マキナは学園に来る時は常に制服を着ている。
「マキナよ……本当に……」
「お父様……王族もこの国の危機に何かするべきです。前勇者であるエルナと共に戦ったのは、先祖であるキーナ様。ならば、王女である私が共に戦うべきなのです」
マキナの言葉に兵士達は歓声を上げるが、王は溜め息をついていた。これは王の意思ではなく、マキナが決めた事で、それを反対出来なかったのだろう。
「報酬の条件がそれなら仕方がないけど……荷物とか持ってるけど、それは何?剣は腰に付けてるみたいだけど」
「一時でも貴女と行動を共にすると決めたのですから、事が終わるまでは同じ場所に住まわせてもらうつもりです。そのための最低限の荷物を入れたものです」
「な……何言ってるんだよ!!一緒に住まなくてもいいだろ。マキナがそうしたいのなら、エリスを城に住ませればいいじゃないか」
サイガはマキナの言葉に驚き、そんな言葉を口にしていた。エリスが家に来たのも迷惑なのに、マキナまでも家に住むとなると、サイガの肩身がさらに狭くなるのは目に見えていた。
「何故貴方が言うのかは分かりませんが、これも経験だと思ったからです」
マキナはサイガとエリスが一緒に暮らしてるのを知らない。エリスが何も言わないのは、その分の生活費も貰えると思っているのだろう。
それならばとサイガはマキナにエリスと暮らしてる事を言おうとするが、口が開かない。
「話はこれまでじゃな。私は弟子のサイガに話があるので、この場から離れさせてもらうぞ」
サイガの口が開かないのはアイシャの仕業であり、サイガは自分の影に吸い込まれ、アイシャも影に沈んでいく。
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