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「何だよそれ……俺には何の得もないじゃないかよ。今思ったんだが……魔王なのに、正義の味方をしようとしてる気がする」
魔王であり、世界征服をしようとしているのなら、暴走化を指示するなどの暗躍をするほうなのに、エリスと共に阻止しようとしている。それも秘密裏なのは正体を隠してるヒーローのようだ。
「それも一興じゃろ。少しずつ正体が分かっていく。アニメとかにもそんな展開があるんじゃし、実際にも起きた事があるのをお前は知っているじゃろ」
「はいはい……それが俺の正体を隠してるわけか。それにエリスからも信じてもらえてないからな。まぁ……エリスを巻き込んだ形になったわけだから、俺がやらないとどうなるか……」
サイガは椅子から立ち、部屋から出ていく。アイシャは話をしながらもウトウトしていて、いつの間にか眠りについていた。本当に疲れていたのだろう。
学園は休みなのだが、施設が充実しており、研究や特訓、部活をする学生が大勢いる。その中に警備隊で動くために学園を休んでいたキースの姿があり、用が済んだのか学園から出ていく。
サイガはキースが歩く逆方向に視線を向けると人だかりが出来ていた。そこにはマキナがいるわけではなく、キースを追いかける様子もない。その場所に何かあるのだ。
サイガはキースがいた事から学園にも暴走化した奴が出てしまったのかと走った。そして、キースがその場を離れたのは事が終わったからだろう。
しかし、その場にあったのは魔界の者の死体ではなく、人間の死体。それも首、手首、足首、全ての首が切られているだけでなく、体にも何かに喰われたような痕があった。切り離された顔から会長候補の一人だと分かる。
そして、少し離れた場所にも魔族の死体がある。状況から会長候補を殺したのはその魔族であり、裁いたのはキースという事になる。
周囲の学生の声からは、この魔族は死んだ会長候補のパートナーだったらしい。
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