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時間の経過により、キースがどこに行ったのかも分からず、地理もそんなに詳しくなく、見つけられるはずがなかったのだが、戦闘が始まったかのように爆発が起きた事で、サイガはその場所に向かった。
「あそこは……空き地ですかね。戦闘ならキース先輩がいると考えれますもんね」
サイガの後にシリアもついてくる。体力や移動速度はサイガが圧倒的に高く、シリアは追いかける事が出来ないはずなのだが、シリアは被っていた帽子を取って、巨大化する事で乗り物にし、回転しながらもサイガのスピードに匹敵している。ただ、本人も回転しているのに、何もないように話しているのが地味に凄い。
街に何か事件が起きれば警備隊が動く。そして、一番近くにいたのは学園付近にいるキースとなる。勿論、警備隊がまだ到着しておらず、誰かが暴れている可能性はある。だが、暴走化が頻繁に起きており、常にキースが裁いているのであれば、その場所にいてもおかしくない。
しかし、サイガが思っていた状況ではなかった。キースがいたのは間違いないのだが、その相手は暴走化した魔族などではなく、複数の人間と魔族がキースを攻撃していたのだ。
「何やってんだよ!!」
シリアはすぐさま風の魔法でキースに向けられた攻撃を方向を変え、サイガはキースを庇うように前に立った。
その姿を見た相手側は、攻撃するのを止めて、散り散りに逃げて出した。それをサイガとシリア、キースは追いかける事はしなかった。
「何のつもりだ。お前達が邪魔をしなければ、殺す事が……違う……捕まえる事が出来たんだ。俺が暴走化を止める事で、相手は俺を狙ったんだろうがな」
「何ですか!!せっかく助けたのに……キース先輩がそんな人とは思っていませんでしたよ」
シリアはキースに怒っていたが、サイガにはそんな気持ちは起きなかった。
「……邪魔したな。聞きたい事があったけど、俺の勘違いだったようだ」
先程の学園で起きた事や暴走化した相手を常にキースが殺してる事で、何かを企んでいるのがキースかもしれないとサイガは考えていた。
しかし、キースが狙われたのなら話は変わってくる。それにゲートが出現した時の殺気はキースから放たれたものではなく、サイガやエリスを助けた形になっていたのを思い出した。
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