第2話

6/6
前へ
/6ページ
次へ
パパとママがいつまでも元気で仲良くいられますように その絵馬は娘が合格祈願した絵馬の後ろに隠れるようにあった。 その絵馬にも娘の名前が書かれていた。 私は今までできるだけ強い夫でいようと妻の前では泣くような姿を見せずに努力していた。 しかしその絵馬を見た瞬間、いてもたってもいられなくなったわたしは大声で泣き叫び拝殿に全力で駆け込んだ。 持っていたお財布を丸ごと賽銭箱にぶん投げ、 鈴を叩きつけるように鳴らし、大声で叫んだ。 「か、か、神様、一生のお願いです。 ど、どうか、どうか私たちの娘を返してください。 私たちの手元にあの娘を返してください。 どうか私たちの宝物を返してください。」 私は声にならない声で泣いた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加