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S組の前までくると、
「俺の席、窓際前から3番目な。んじゃよろしく!」
「まったく、人使い荒いんだから…」
半ば呆れながらも、教室に入る。
中には、まだ半分くらいしか生徒はいない。
(えーと、窓際前から3番目…あ、あそこね!)
目的の場所まであと数メートル…
突然後ろから羽交い締めにされた。
「おっす!更科!どうした眼鏡なんて珍しいじゃん?」
「え?あ?」
あまりの苦しさに目を白黒させる僕に
「朝からそれはきついぜ真田?」
聞き慣れた声の方を見やると、若菜君が笑っている。
「あの、僕、葉月です…」
蚊の鳴くような声に突然拘束が消える。
「は?マジ?」
後ろを見ると大きなとがっちりとした人が困ったような笑顔で僕を見下ろしていた。
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