7人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「No.29収容失敗しました。次へ向かいます」
『いや、もう切り上げて戻れ。市民が一部暴徒化していると情報が入った。何名収容出来た?』
「13名です。不在が多いのと、拒否も数名」
『やはり少ないな。とにかく、収容作業は全て終了だ。安全なルートをマップで送るから、すぐ撤収しろ』
「終了、ですか」
『何度も言わせるな。収容者の安全確保に務めろ』
「…了解しました。……だとさ。行くぞ加藤」
「はい。…お年寄りは全員拒否でしたね。あの新川っておばあちゃんも…おじいちゃんがとっくに亡くなってる事、忘れちゃってるんですかね。」
「どうだろうな」
「猫もいるし、なんて。どうしても家を離れたくなくて、あんなこと…」
「…加藤。お前、見えなかったのか?」
「何がです?」
「猫だよ。ばあさんの横に丸まってただろ?」
「えっ?いや…って主任、まさか、ですけど…」
「俺には見えたぞ、ぶちの猫。まあ、生きてる猫とは思えなかったがな」
最初のコメントを投稿しよう!