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「…まったく……痛くてかなわん」
「だから悪かったって、な?この通り!」
行為を終えたあと脱ぎ散らかされた服をきちっと着直すも、勝家は鈍い痛みの所為で着替えにくく、やっとのことで着替え終えた今も痛みは治まらず、樹に凭れかかってはため息をつく。
左近はそんな勝井の前に正座し顔の前で手を合わせて謝るも勝家はそっぽを向いてそちらを見ようともしなかった。
「オレにできる事なら何でもすっから。そろそろ機嫌直してくんね?」
「何でも、か?…ならば答えてくれ。何故こんなことをした」
何でもするという左近の言葉にようやく視線だけを勝家と向ければ、何でもというならこちらの質問に答えてもらおうと思い問いかける。
しかし、左近はきょとんとして不思議そうに勝家を見つめるばかりだった。
「…私はお前と戦で戦った相手だ。だというのにこんな大博打に連れ出したり、男同士と知りながらこのような行為に至る、その理由が知りたい」
「ああ、なるほど。そういうことね」
左近の表情に軽くため息をつけば、事ここに至る理由が知りたいのだと改めて問いかければ、左近も納得したようになるほどと呟く。
「まぁぶっちゃけるとアンタとオレ、似てるんだわ。今でこそ三成様の側にいるけど、昔のオレは馬鹿でさ。三成様相手に命張って負けた。けど三成様はオレのことなんてどーでも良くて、ただ秀吉様に尽くしたいってそれしか見てなかった。オレはそんな三成様をすげーって思ったし、三成様みたいな生き方をしてみてーって思って今のオレがある。初めて会ったときのアンタの目は、馬鹿やってた頃のオレにそっくりで、なんかほっとけなかったんだよ」
何でもすると言ったのだからやはり答えなくてはと思うも、説明などといった類が苦手でとりあえず大博打に誘った理由から話す。
「んで、さっきのアレは…その……一言で言うと、惚れたってことなんだよな」
「……は?」
そして先の行為のついての話になると急に歯切れ悪くなり、少々照れくさそうに"惚れた"などと言えば当然勝家はいったいどういうことなのだろうと目を丸くする。
「男同士ってのはもちろん分かってっし、普通に女の子が好きだったけど、アンタは違うんだよ。いっつも暗い表情だから、笑ったところ見てみてーとか何かに熱くなってるのとか見てーって思って……気付いたら、そういう目で見てた」
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