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「はい、これで全部だよ」
「おう、サンキュ」
ヤバい、慎重にタイミングをはかってる内にハルキの「小さなおじさんコレクション」を見終わってしまったようだ。
「なぁ、今日もあの山行くんだろ?腹減ったから途中でコンビニ寄ろうぜ!」
「やっぱり来る気か…」
苦い顔のハルキを気にもとめず、タカシは「金あったかなぁ」と無造作にポケットから小銭をジャラジャラ取り出して、机の上にばら撒き始めた。財布にすら入れてないとかさすがに大雑把だ。
ハルキも諦めた感じだし、完全にタカシのペースだが、二人が机を離れる前に勝負を決める必要がある。
「よし!行くぞ!」
隊長の号令で、カーテンレールから飛び降りた。
降りる先はそう、派手な音がする所がいい。
俺はタカシがばら撒いた小銭の上に勢い良く着地する。幾つかのコインが、弾かれて宙を舞った。
同時に、机上のライトが明かりを灯す。隊長がスイッチに飛び乗ったからだ。
突然の光と音に驚いて、ハルキとタカシが机上を見る。
そして、目が驚愕に見開かれた。
10年越しで会う俺に、果たして気付いてくれるだろうか。
ハルキは、タカシは、俺達とどんな話をするんだろう。
何を言おう。
やっぱりまずは、あの時のお礼だろうか。
俺は、思いっ切り手を振った。
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