出会い

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俺達は基本、少しだけ人里離れた小山に住んでいる。 ふもとにはところ狭しとニンゲン達の家々が建っていて、俺達の小山は街中に取り残されたような状態だ。 小山の持ち主が売らないでいてくれるから、俺達はあまり苦労もせずに暮らしてこれた。 だが、国によって事情は様々だ。 日本全国津々浦々に広く分布している俺達小人族は、地域地域で小さな国や村を作り、時には交流しながら暮らしてきた。 国独自の法律もあれば、服装や料理、言葉や考え方まで国によって違う。 どの国もさほど変わらないのは、ニンゲンに対する接し方くらいじゃないだろうか。 ニンゲンは便利だが、危険だ。 暮らしの役にたつ技術や資材を手に入れるには、ニンゲンの住まいが一番適している。ちょいちょいお邪魔しては、必要なものを貰ってくる…豊富な戦利品をもたらす狩り場だな。 だが一方で、俺達はガキの頃から「ニンゲンに決して姿を見せるな」と、厳しく叩き込まれる。 その昔ニンゲンに囚われ、酷い扱いを受けた仲間が何人もいたようで、その教えだけはどれだけ代が代わっても、最重要の教えとして受け継がれてきた。 それなのに、だ。 おっさん達のこのていたらく。 全く、嘆かわしい。
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