出会い

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相次ぐ不祥事に頭を痛めた長老会から、俺に与えられた任務は2つ。 頻繁に姿を見られた事で、ニンゲン達の間でどれくらい騒ぎになっているかを探る事。 そして、それに対してのニンゲンの考えや、不穏な動きがないかを探る事。 俺がもたらす情報で、国の指針が変わると思うとかなり恐ろしい。俺は慎重に調査し、誤りのない情報を提供する義務がある。 ぶっちゃけ今、長老会でも意見は大きく割れている。 片方は昔ながらの考え方で、ニンゲンを敵と捉え姿も見せなければ一切関係を持たないというものだ。 そしてこのところ台頭してきたのが、ニンゲンと友好的な関係を結べないか、という考え方。 ニンゲンの家で狩りをしていれば、自然ニンゲンの情報にも詳しくなる。 昔なら捕らえられ見世物にされたような病や未知の生物は徐々に解明され、知能が高い動物さえ愛護される時代に、同じ人型である小人族が迫害される事はないのではないか…長老達の中でさえ、そう考える人もいるのが現状だ。 おっさん達がニンゲンにちょいちょい目撃されるのは、単に運動不足なだけでなく、もしかしたらニンゲンへの警戒心が急激に薄れているせいなのかも知れないな…。
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