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「カイ、明日からダンジョンにもぐろうと思うんだけど。」
「えっ!?なんで!?いきなり?」
私の提案に、何故か全力で驚くカイ。
なんでだろ…。
驚かれる事に寧ろ驚きなんだけど。
「だって、カイは勇者を目指すんだし…そろそろダンジョンくらい攻略すべきでしょ?」
「……フランちゃん…。やっぱり、本気だったのか…。」
青い顔で、カイが呟く。
何を今更。
10年もの間、私が冗談を言い続けているとでも思っていたのか。
絶望の表情をしているカイを眺めながら、私は思い出していた。カイと出会ったあの、あどけない日を。
事の発端は10年前。私が4歳の時だった。
その頃私が通っていた幼稚舎に、まだ期の途中だというのに、一人の男の子が転入してきたんだ。
男の子の名前はカイ。
黒眼がちなパッチリお目々が可愛いくて、とっても優しそう。幼い私はお友達になりたくて、その男の子に声をかけた。
その瞬間。
私は吹っ飛んだ。
軽く5mは飛んだと思う。どこかにぶつかったのか、私のこめかみから血が流れ、その場は騒然となった。
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