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「中島、お前、なめてんのか」
威圧的な男性教師の広い額を見上げて、僕はへらっと笑って見せた。
「はい」
次の瞬間、頬に閃光が走る。
教師の分厚い手のひらを見下ろしながら、唇の端にぬるりとした感触を覚えた。
しくった、歯を噛んでおくの忘れてたわ。
「そういう、お前みたいなヤツがいるから。お前みたいなヤツがいるから……」
男性教師は手のひらを握り締め、ぶるぶる震えた。
僕は先ほど教師から受け取っていた答案用紙を、教師の目の前でぐしゃりと握りつぶして見せた。
「くだらないんですよ、全部。馬鹿バカしくって、やってられない」
教師の手が再び勢いよく高く挙げられる。
だが、それが振り下ろされることはなかった。
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