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そこは全ての景色が異様であった。
空は蒼色ではなく、常に黄昏色。降り続いている雨は透明ではなく黒く染まっていた。
「相変わらずこの景色はどこに行っても、何喰ってても変わらねぇなぁ…。」
低い声で丘のような場所から青年は呟いた。見た目は緑色で統一されていた。緑色のパーカーに動きやすそうなズボン。そしてその服の色よりも濃い緑色の髪。
しかし目だけは全く違いどこまでも、どこまでも深紅に染まっていた。
「あー、運動したあとだし腹減ったなぁ…仕方ねぇ。喰らうか。」
青年は自分腕から無数の触手のようなものを生やし、最終的にはそれを束ねて顎(アギト)にしてから自分が座っていた丘をその顎で食べ始めた。
しかしよく見ると食べていた丘は土などではなく、獣や人型をしている死体であった。
中にはまだ生きているものがいたのか悲鳴や叫びが聞こえるが青年はお構い無しに顎で骨ごと喰っていく。
そして丘がなくなった後には色々な生き物の血が混ざった血溜まりしか残っていなかった。
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