第一夜

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森の中に響く人の足音。 昼間とは違う顔色を見せるこの森で、ただひたすらに草木を掻き分けながら奥へと向かう男がいた。   「ったく、あの天使……神獣の出現地がこんな森の奥深くとかふざけてるだろっ かわいい顔してSだな。」 名をアスエラ ゼウスに選ばれた神候補の人の子の一人。 ゼウスは新月が訪れるたびに神獣が眠る神殿を出現させ、人の子は戦闘と祈りを用いて神獣との契約が許させるのである。 神殿が現れるのと同時に新月でありながら空には紅に染まる月が出現する。神殿が存在する時間の間だけ現れては満ちては欠け、月が全て欠けると神殿も消える。 つまり、砂時計-タイムリミット-の役目を果たすのだ。 そして今日がその新月の夜に当たる。
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