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赤い目で真田を見つめながら
一生懸命話す由美を見て、
真田は自分の気持ちを
抑えきれなくなっていた。
たまらずに由美を抱きしめ、
その唇に触れていた。
やさしく由美の髪を
自分の指でかきあげ、
由美の顔をみつめた。
「由美先生、僕の誤解でした。
由美先生のことを信じます。
これからも付き合ってくれますか?」
ゆみは無意識のうちに、
そして自然にこくんと頷いていた。
この時が、ふたりが本当の意味で
白衣の魔法にかかった瞬間だった。
この瞬間から、引き返せない
二人の時間が始まった。
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そしてその同じ頃に、
真田の自宅で
昼食をとろうとしていた百合子の箸が、
ボキッと、折れた。
折れるはずもないような、
ご飯をつかんだときだった。
「あら、やだわ。
何かよくないことがあったのかしら。」
百合子は1人で呟いた。
end
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