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少年は呆然と立ちつくしていた。
自分はさっきまで--本当にさっきまでいつもの通学路を歩いていた。
日直でいつもより遅くなって、夕闇の中を歩いていて、そして。
声を聞いた。
それからだ。
こんな変な場所にいたのは。
白昼夢だと思いたかったが背負っていたリュックサックの重さが白昼夢ではないことを教える。
なんとか現状を整理しようと不気味な赤黒い空と生き物の気配がない荒れ果てた大地を見る。
見慣れた通学路どころか地域、自分の住んでいる国や世界でもこのような場所は存在しないだろう。
それにいきなり通学路が見知らぬ場所に変わるなんてことはまず現実的にはありえない。
……でも非現実的なら?
「……ははは、普通に歩いてたら異世界に来ました、なんてどんなファンタジーだよ………」
そう呟いた少年--天宮 隼羽(あまみや しゅう)はひきつった笑みを浮かべた。
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