ラストイブ

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「今だってそこそこランク入りはしてますもーん」 「30になってモーンなんて語尾つけたって可愛くもねぇからな」 「何よぅ、自分なんてもう40のオッサンのくせに」 「ハタチのお前可愛かったもんなー」 10年前を懐かしむように、急にそんなことを言うから。 「一目惚れだった」 あっけにとられて顎が外れそうになった。 「それが今や、そのバカ面」 私の顔を指差して、くしゃくしゃに笑う。 喧嘩売ってんのか。 「ってか10年前からあんた奥さんも子供もいたじゃん!」 「そう。でも今日なら許されるかと思って」 こたつの角を挟んで、斜め向い。 天板に頬を載せて、男の顔を下から仰ぎ見る。 今更、告白するなんて。 顔赤いですよって、からかってやろうと思ったのに。 「顔、真っ赤」 逆にそう言われて鼻をつつかれた。 「ごめん、一個嘘ついた」 「何ですか」 「今日、お前が来てから、シャッター閉めた」 「は?」 「電話線も抜いちゃった」 「……………」 そりゃ、お客さんこないはずだ。 「なんでそんなこと」 「なんでとか、なんで聞くの」
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