158人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「今だってそこそこランク入りはしてますもーん」
「30になってモーンなんて語尾つけたって可愛くもねぇからな」
「何よぅ、自分なんてもう40のオッサンのくせに」
「ハタチのお前可愛かったもんなー」
10年前を懐かしむように、急にそんなことを言うから。
「一目惚れだった」
あっけにとられて顎が外れそうになった。
「それが今や、そのバカ面」
私の顔を指差して、くしゃくしゃに笑う。
喧嘩売ってんのか。
「ってか10年前からあんた奥さんも子供もいたじゃん!」
「そう。でも今日なら許されるかと思って」
こたつの角を挟んで、斜め向い。
天板に頬を載せて、男の顔を下から仰ぎ見る。
今更、告白するなんて。
顔赤いですよって、からかってやろうと思ったのに。
「顔、真っ赤」
逆にそう言われて鼻をつつかれた。
「ごめん、一個嘘ついた」
「何ですか」
「今日、お前が来てから、シャッター閉めた」
「は?」
「電話線も抜いちゃった」
「……………」
そりゃ、お客さんこないはずだ。
「なんでそんなこと」
「なんでとか、なんで聞くの」
最初のコメントを投稿しよう!