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「で、マリア。お前は何しに来たの」
「何って…仕事しに来たんですけど。あれ?私今日出勤ですよね?」
私の出勤曜日だ、間違いない。
携帯を出してきてカレンダーを確認した。
「いやー……さすがに、最後の日は誰も来ないだろ」
「え、女の子今日私だけですか?」
「女も客も。予約もゼロだけど」
「まじで」
ふん、と店長が鼻でせせら笑う。
「お前、他に行くとこないのか」
余計なお世話だ。
「いいじゃん。いつもどおりの方が」
そうじゃないと、なんか怖いじゃない。
それに、私がひとりじゃない場所って言えばここしか思い浮かばなかっただけだ。
とりあえず、予約が入ってないなら待機する。
待機室ならコタツもあるし。
驚くべきことに日本の秩序は素晴らしい。
明日世界が終わるというのに、電気も水道もテレビも。
商店街のカフェもコンビニも、みんないつもどおりだ。
なまけものなのは風俗嬢だけらしい。
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