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「それがしの手当てなど無用、何卒、早急な御下知を…!」
母衣武者は懸命に訴えるが、信長は取り合わない。
更に喚き散らす母衣武者は馬廻りの武者達に脇を捕まれ、引きずられていった。
堪りかねた信長の一門衆の物頭・織田造酒介が信長を促す。
「今すぐに陣触れの下知を。陣触れなくば、此方の兵力など三百にも満たない有様でござりますれば」
煩そうに応える信長。
「三百が千や二千になればこの戦に勝ち目があるのか、たわけ!」
冷然とした言葉に造酒介は返答に窮した。
しかし座して死を待つに忍びない造酒介は重臣をせきたて戦評定をひらかせる。
黙然と信長が見守る中、重臣たちは激しく論議を交し合った。
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