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特に二件隣のおっちゃんの家のぬか漬けは別格で、母さんがもらってくるたんびに飛びついていた。
懐かしい記憶を辿りながら郁也は台所に向かう。
郁也の母、サヨは高確率で台所にいる。
郁也が子供の頃からしょっちゅう台所に入り浸っては何かを作っていた。ただし、サヨに料理の才能は全くと言っていいほど無く、味は壊滅的だった。
それなのに、彼女の趣味は料理。
この世でサヨの料理をまともな顔をして食べられるのは今では本人しかいない。父ー昌也が生前の頃は平気な顔をしてサヨの料理を食べていた。
そんな二人を見て育ってきた郁也と一つしたの双子、燈火と桃華は自然と自分達で料理をするようになっていった。
ちょうど昌也は仕事で毎日遅くに帰ってきて、サヨはそれに合わせて夕食を食べるのが習慣になっていた。
それを理由にして、郁也と双子たちは自分たちで安全な食事を確保するようになった。
「母さん、ただいま」
台所に顔を出すと思ったとおりそこにいた。しかも何かを作っているようでオーブンを覗き込んでいる。
サヨの見かけはとても若く見える。まぁ、もとが童顔だったのもあると思うが…。
現在48歳のはずなのに、その見かけは30代前半といっても通じてしまうほど若々しい。
オーブンを覗き込んでいる姿はまるで大好きな人にプレゼントをするお菓子を作っている女の子のようだ。
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