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私がある女子大の生徒だった頃の話。
「何でこの学校には七不思議が無いんだろう」
K君が神妙な声色で静かに呟いた。
(君付けしているがK君も女の子だ。)
私はノートから目を離し彼女を見る。 定期試験も近付いていて、勉強会として空き教室に集まった筈なのに、彼女はノートも教科書も出していない。 暇そうに頬杖をつきながら、コーラの空きペットボトルをチェスの駒のように、置いてはつまみ上げ、少し移動させてまた置く、という動作を繰り返していた。
「何?」
私が訊ねてみると、彼女は「だから、」と手遊びをやめ、私に向き直って苛立ち混じりに再び繰り返した。
「何でこの学校には七不思議が無いんだろう、って。 80年もあるんだから、五不思議くらいはあってもいいだろ?」
五不思議って何だ。 そんな感想を心の中に押し込めて、私は他のメンバーを見た。 この教室には私とK君、そしてFとS、WとYの総勢6人が揃っている。 そしてほぼ全員がK君の突然の文句に絶句していた。
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