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「とりあえず、ノートと教科書を出しなさい。 明日だよ? テスト。」
自分のノートをぺしぺしと手首のスナップだけで叩いて、まるで勉強から興味を無くしてしまったK君を引き戻す。 けれど彼女はううんと唸るだけで、机に突っ伏してしまった。
そこに、勉強に飽きて来たFとWが悪乗りして来る。
「全くだよね!! ボロい癖に怖い話が無いとか有り得ないんだけど!」
教科書を閉じたWが息も荒々しく言った。 レジュメを雑に揃えてファイルにしまうFの気怠い同意が後を追う。
ああ、この2人に逃げ道を与えてしまうからサッサと勉強に戻したかったのに。
私が溜息を吐くと、助け舟がやって来た。
「気になるけどアナタ方はそんな事してる場合じゃないでしょ。」
Sが言う。 そう、この6人の中で、比較的成績が良好なのは私とSの2人だけなのだった。 残る4人は、まあ、ギリギリ中の下くらいだ。
FとWは、大学は遊ぶ所と言う認識だし、Yは ぽやっとした所があるので、授業の聞き逃しが多い。 そしてK君は今回のように、ある時ふっと興味が逸れてしまうのだ。
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