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拓は一度マガジンを確認する。目盛、重さ的に残り15発くらいか。30発のマガジン、20発マガジンがあと1本ずつ、計75発あるが、この戦いだけで終わるものでない。今フルオートで撃ちあうほどの余裕があるわけでもない。拓がイングラムM10をあえて使うのは、今の片山ではまだSMGを有効的に使えないからだ。
……こういう時サクラがいればいいのに……
サクラには色んな能力もあり、正直実戦馴れもしている。
「馬鹿だな俺は…… サクラを頼りだしたら終わりだな、俺も」
拓は苦笑すると、左手で懐中のホルスターからガバメント45を取り出し、イングラムM10を涼に渡した。
「ちょ! 拓さんっ! 私にはムリです!!」
「俺が『くれ』と叫んだら、俺目掛けて投げてくれ。うん、地面を転がしてくれたらいい。銃はその程度じゃ壊れないからね」
「は……はいっ!」
「宮村さんは万が一別の<死神>が現れないか、俺と片山さんの背後を見張って! もし現れたらどんなに遠くでもいいから銃を撃って報せてくれ!」
「了解」
そういうと拓はガバメントを握りなおし、左手にマガジンを三本取り出して握った。そして片山の方を見た。
「片山さん、その銃にはまだ20発は入ってるハズです」
「ええ。俺が撃ったのは7発です」
初めての銃撃戦なのに、片山は意外に冷静だった。性格もあるが、この異常な状況に馴れて来たのだろう。
「俺が飛び出したら、1秒に1発撃つくらいのカンジでとにかく<死神>が隠れている路地にとにかく撃ち込んでください。絶対奴が出てこられないように!」
「飛び出すンですかい!? 捜査官」
とてもそんな余裕あるとは片山には思えない。少しでも拓や片山が顔を出すと<死神>の方は問答無用にフルオートで弾を吐き出してくるのだ。火力が圧倒的に違う。
だが、拓は珍しく余裕ありげに微笑みを浮かべ、ガバメントを構えた。
「こう見えても俺は現役のFBI捜査官なんで。じゃあ……1、2、3で。まずは一度俺が頭を出します。そして相手に1マガジン撃たせます。……涼ちゃん……」
そういうと拓は涼に、持っているイングラムM10のマガジンを抜き「引き金を引いて」と促す。引き金を引くと、イングラムの重い撃鉄……ボルトがガチン!と音を立てて落ちた。
拓は頷く。
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