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いまだに笑顔で私を見つめる中大路君。
だけどその笑顔はいつもとは違う。とびっきり甘い顔になっちゃってて、その瞳は、私を好きだって言っている。
「...保健室に行こうか」
そう言うと、なぜか顔を近づけてくる中大路君。
その瞬間、額に感じた温かな感触。
額へのキスに、私は驚きのあまり、目を大きく見開いてしまった。
中大路君は、得意気に笑っているだけ。
そしてさらに大きくなる歓声の中、私の耳元で囁いた言葉に、私の顔はより一層熱くなる。
また中大路君は、そんな私を見て笑っていた。
“大好きだよ”
甘い声で、吐息混じりに囁いちゃって。
そんなの反則だよ。
嬉しくて、そしてこんなにもドキドキしちゃうに決まっているじゃない。
溢れる歓声の中、ゆっくりと歩き出した中大路君。
私を抱いたまま、余裕綽々で歩く中大路君に悔しくなってきちゃって、少しだけ身体を起こして、中大路君の耳元に顔を近づけ、そっと囁いた。
「っ...!ちょっと柚歩ちゃん!?それは、反則だからっ!」
すると中大路君は、また真っ赤になってそんなことを言うものだから、嬉しくなって笑ってしまった。
“私も大好きだよ”
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