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緊張しながらも、彼に問い掛ける。
「.......中大路君は、今から部活?」
彼の瞳を見つめたまま、確かめるようにーー。
ーー覚えていないの?
私、あなたに名乗ったよね?
私の名前を聞いても、なにも思い出さなかった?
...私はあなたの名前を、忘れたことなんてなかったのにーー。
ジッと彼を見つめたままその様子を伺う。
だけど彼の表情は変わることはなくて、さっきと同じように笑うだけ。
「そうなんだよ、新学期早々いやになるよ」
「.......そっか」
私が『中大路君』って呼んでも、全く動じる様子は見られない。
さっきと同じ表情。
...本当に忘れちゃってるんだ、私の存在をーー。
なんだ...。
変な緊張感から解放され、一気に身体の力が抜ける。
「それじゃ柚歩ちゃん、また明日」
「まったね」
友達と一緒にそう言うと、私の横を通り過ぎていく中大路君。
信じられない。...中大路君は、私のこと忘れているって現状が。
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